概念学習
セラピー
就学前
準備
ピカピカのランドセルと、たくさんのお友達。小学校入学は妊娠・出産から始まった育児の一つの区切りです。今まで家庭中心の生活で家族に守られていた子供達の社会が大きく広がります。
大きな自由と共に、社会に個人として接する機会が増えるということで、社会のルール・学校のルールに従い生活するということが求められるということでもあります。スムーズな小学校生活を始めるために、どんな準備をしておけば良いのでしょうか?
黒板に書かれた文字、書き写せますか?
就学準備として、平仮名・カタカナの読み書きを練習していらっしゃる家庭もあるかと思います。その時に、どんな練習方法をしていらっしゃるでしょうか?
小学校では、先生の言ったことをノートに書く、自分が考えたことを作文する、よりも前に、先生が黒板に書いたことをそのまま書き写す、という作業が発生します。その時に、この黒板を書き写す、という作業のみ非常に苦手とする・出来るけれどものすごく時間がかる、というお子さんが一定数いらっしゃいます。
黒板を書き写すには、短期記憶が必要
なぜこの黒板を書き写す作業のみ、苦手とするお子さんが多いのでしょうか?
なぜなら、この黒板からノートに書き写すという時に、目線が黒板からノートへ移すというタイムラグがあることにより、その数秒間内容を思えておかなければならない、という短期記憶を使用する必要があるからなのです
スモールステップで練習しよう。まずは手元の文を暗記するところから。
最初から遠い黒板を書き写す練習をするよりも、この課題をスモールステップに分解して、少しずつ出来るようになっていきましょう。最初のステップは手元の文章のメモ(例えば「あかいリンゴのき))を読んで、それを隠し、その文をそのままノートに書く、という練習から始めましょう。
もしこれも難しいようでしたら、「リンゴのき」、もしくは「リンゴ」など文を短くして練習していきましょう。
出来るようになったら、そのメモを少しずつ離していき、最終的には黒板の距離まで離していきます。
黒板を書き写す練習をする前に「短期記憶」のトレーニングを。
日常生活でできる短期記憶のトレーニングは、「書き写す」ことだけではありません。
例えばあなたのお子さんは、「パパの部屋に行って、コーヒーを届けて、カレンダーをめくってから、新聞をもらってきてね」という指示を全てできるでしょうか?
この指示には1)コーヒーを届ける2)カレンダーをめくる 3)新聞をもらってくるという3つの指示が含まれています。最後に言われた3)新聞をもらってくるという指示には従えても、残りの2つは抜けてしまうという場合が多くあります。
日常で出来る「短期記憶」のトレーニング方法とは。
短期記憶はトレーニングで向上しますので、日常生活でもたくさん取り入れていきましょう。例えば、おやつの時間に、3つのコップに1つお菓子を入れて、10秒待ち、「どこに入っているかな?見つけたら食べていいよ」というゲームをします。
覚えるモチベーションが高まり、お子さんは積極的に短期記憶を使おうとしてくれるでしょう。
算数の就学準備は「数の分解」
小学校に入学したらすぐにたし算ひき算の授業が始まります。発達に凸凹があるお子さんであればあるほど抽象的な概念を理解するのは難しいもの。まずは3Dのビーズなどを、数字やドットなどに変換出来るように練習しましょう。
3Dで数の分解(5は3と2)が出来るようになったら、2Dでもそれが同じように出来るようになるよう練習していきましょう。
3Dが2Dに変換できるようになることで複雑な計算をする準備が出来る
1年生も2学期になると繰り上がりの足し算、繰り下がりの引き算が始まります。
この時に授業についていけるかどうかの鍵はやはり「数の分解」ができるかどうか。
10の位における数の分解と、1の位における数の分解という2つのステップが組み込まれてきます。
これも2Dで練習するよりも前に3Dで徹底的に練習をしましょう。暗記を行うことが目的ではなく、自分の頭の中にイメージが出来るようになることが目標です。
国語の就学準備は「書字学習」
もしあなたのお子さんがまだあまり言葉を話せないのであれば、「書き練習なんてまだ早い」と感じていらっしゃるかもしれません。
そんなことはありません、話し言葉が達者ではないお子さんにこそ、書字学習は大きな力となるのです。発達に凸凹のあるお子さんは、一般的に視覚からの情報処理が優位な方が多いと言われています。
口で言われた指示に従えなくても、書いてあるサインには従えたり。自分の気持ちを口で表現できなくても、文字で書くことは出来たり。
話し言葉の獲得-->文字の獲得ではなく、文字を獲得することで文字をツールにして概念理解・言語を深めていく、と考え、練習していきましょう
書き方、どうやって教える?
文字を書けるようになるのは、どんなお子さんにとっても難しく、最初から綺麗な文字を書ける人はいません。
発達に凸凹のあるお子さんはなおさらで、言葉による説明よりも、手を大人が誘導してあげてスモールステップで練習させてあげましょう。